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先月号の小川湧三の記事でも取り上げていますが、今年の3月27日に税制改正法案が成立しました。いよいよ事業承継税制(同族株式に係る相続税・贈与税の納税猶予制度)が動き出しました。 昨年10月に相続税の納税猶予制度についてお話しをさせて頂いた時には無かった贈与税の納税猶予制度が織り込まれたり、後継者の範囲が拡大されたり、当初よりも使い勝手は良くなったように思います。 只、この事業承継税制に関して個人的な意見を述べさせて頂くなら、相続税・贈与税の納税を猶予するのではなく、免除とすべきであったろうと思います。 猶予された税金は、株式を承継した事業承継者が死亡した場合や次の後継者にこの制度を使って贈与していく場合などには免除されることになっていますが、第三者に株式を譲渡したり、雇用の80%を維持できなくなった場合には納税の猶予が取り消され納税の必要が出てきます。 現在のような急激な環境の変化に対応して経営をしていかなければならない時代に、納税猶予の選択が「あるべき経営の意志決定」を歪めてしまう恐れがあると思うのです。 この制度の大きな目的が、後継者が事業承継をしやすくすることで企業の存続、雇用の維持をしていく点にあることからすれば、その目的を外れた場合に制度の適用が否定されることは、理解できなくはありません。 しかし、納税猶予に縛られて誤った経営の意志決定がなされ、結果として会社が立ちゆかなくなったとすれば、やはり制度の目的は果たせないのではないでしょうか。 納税猶予という制度のもとでは、最終的に税金の免除という段階に至るまで、納税の可能性という会社にとってのリスクを抱えています。 私は、相続税・贈与税については納税猶予ではなく免除という形で区切りをつけて、後々会社にリスクを残さないような制度にすべきであったと思うのです。 とは言え、株式を後継者に承継していく場合に、壁となっていた多額の相続税を軽減する選択肢が、今回の納税猶予制度であるということは間違いありません。制度を利用する際のリスクを踏まえた上で、上手にこの制度を利用していく必要があります。 私たちも、さらに研究を進めてお客さまの事業承継のサポートをしていきます。
by lrmogawa
| 2009-06-01 00:00
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